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:::Nebula†Garden…ホガラカDiary:::

◇愛のあいさつ


【二次創作書庫…ikki*shun】

愛のあいさつ




  時々感じるくすぐったい視線。いたたまれず、その視線の先を追う。
 「なぁに?」
 僕はカッター・シャツのカフスのボタンを留めながら、ベッドで寝ぼけ顔を晒している一輝兄さんに問いかけた。
 「ん…。」
 答えが返ってこない。
 「ヘンなの!」
 制服のズボンを放ったらかしにしたまま、僕は兄さんのくっきり割れた腹筋の上に飛び乗った。
 馬乗り状態で、締りのない顔を見下ろすと、
 「やっぱり駄目か…?」
 逆に問い返され、しかも意味が全く分からない。
 兄さんは全開だった僕のシャツのボタンを下から順に留め始めた。
 「何が?」
 「こんな事が、だ。」
 脱がされてばかりで、着せてもらうのは小さい頃以来なので変な感じがした。
 「着せてるんだから良いじゃない。」
 少し身体を倒すと、やっぱりせっせと留めてくれた。
 「あっ!駄目だって、一番上まで留めちゃ!!」
 「瞬、お前不良なのか?」
 「何でだよ!?ボタン一個ぐらいで…。」
 兄さんの素肌と密着しているところが熱かった。
 「僕は全然何とも思わない。好きなんだったら自然な事でしょう?」
 人なんて、ちょっとしたきっかけさえあれば簡単に常識から逸脱してしまうものなのだ。
 そうしたらもう、それがその人の日常であり、不自然さなど微塵も感じなくなる。
 兄さんにだってちゃんとそういう‘魔法’をかけておいたのに、どういう具合か我に返ってしまったようだ。
 「しかし、よく考えたら条例違反だ…;」
 「そりゃ、こんないたいけな中学生に手を出してたら…犯罪かな~、フツー。」
 「理不尽だ。どっちかと言うと俺が喰われてるような気がするんだが…。」
 兄さんがしみじみ僕の顔を眺める。
 「失礼な!反応するのは兄さんの勝手でしょう?僕のせいにしないでよ、この犯罪者!!」
 「う゛っ…。」
 しまった…このままでは本気で鬱に入ってしまう;
 「それでもこの気持ちは抑えられないな。困ったもんだ。」
 ─ えっ!?─
 「犯罪…犯してまでも、お前が好きなんだが…。」
 兄さんにしては、素晴らしい右脳的発想の転換。
 僕にとっては‘好きなんだから仕方ないじゃない!’な事も兄さんが気付くには百年かかる。
 …はずが、今日は自力で立ち直っている。
 でも、僕は兄さんを甘やかしたりしない。頬に触れかけた兄さんの指をかわ して、ベッドから飛び降りた。
 投げ出されたままだった制服のズボンを引き上げながら豪語する。
 「ダサイですよ兄さん!そんなの一万年前から知ってなきゃ、僕を愛する資格はないです。呆れました。」
 「…そうか…。」
   罪の意識なんて持たないで欲しいと思った。常識に囚われて僕を遠ざけるのもやめてほしいと思った。
 じゃ、意地悪ばっかり言わないで、時々甘い呪文を囁かなくちゃいけないって事?
 ちょっと面倒だけど仕方がない。
 「兄さんに付き合ってたら遅刻しちゃうよ。仕事は?」
 「フレックス・タイム… …こっち来いよ。」
 兄さんが手を伸ばす。
 「ダメー!遅刻だって言ってるじゃない。帰って来たら触らせてあげる…。」
 こんな‘呪文’とか。
 「ケチだな…。」
 行き所の無くなった手を、仕方なく煙草に伸ばして一本を取り出す。

  部屋を出る背中で‘チッ’と、聞きなれたライターの音がした。


〓ENDE〓


‘あとがき’と言う名の‘言い訳’が、必須です;;;
今、読み返したらアホ過ぎてどうしようかと思う程のアホテキスト(´・ω・`)
⊂超短篇⊃シリーズは本当に頭悪そうなテキストですが、あと1本お付き合い下さい
(T_T)"アトガキ"ジャナクテ"アホガキ"…

B.G.M---タイトルの『愛のあいさつ』は、ヴァイオリン曲として大変有名なエルガー先生のアレとは関係有りません。
なんか健全すぎて合いません;;;
どっちかというと、BACH大先生の『平均率クラヴィーア曲集・2巻』のプレリュードの第4番です。

しっとりした短調の曲です。

20030526...by.che*myun



愛のあいさつ
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